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【不定期連載】あめつちの言ノ葉を読み解く 第4回『ち』

日々のお勤めお疲れさまです。アカツッキーです。

連載企画の第四回目。始めていきたいと思います。

 

※注意※

ブログ内に書いてあるものは筆者の個人的主観と偏見による意見であり、作品の生みの親である今田ずんばあらず氏の思想等とは一切関係ありませんし、的外れな場合もあります。御理解の上閲覧ください。

あとネタバレを含みます。

 

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あめつちの言ノ葉

◆第一章 模倣と翼の章(2002~2008.01)より

ママチャリのエッセイ

ジャンル:エッセイ/概算文字数:2300文字

 <概要>

幼少期から旅をすることを好んだ筆者が人生で初めて書いたエッセイ。神奈川県平塚市から始まる旅路。相棒はなんの変哲もないママチャリ。やがてマウンテンバイク、そして自動車へ移ろい、全国行脚する『旅する小説家・今田ずんばあらず』へと至る始まりの物語。

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~ここから感想~

 

 ずんば氏の代表作にして私が初めて読んだ「イリエの情景~被災地さんぽめぐり~」に繋がる同氏のエッセイ作品。自分の知らない世界を見たい。その純然たる想いを七段ギアの付いたママチャリに乗せて、南の海へ、北の山へ。例え目的地は同じでも昨日とは違う道を経て。

 このエッセイを書いたのは同氏が中学三年生の頃というが、そのバイタリティは計り知れない。多感な頃とはいえ「ふと行きたくなった」という理由だけで江ノ島(平塚から約16km)や津久井湖(同約34km)までママチャリで行くような人間は珍しいのではないか。少なくとも私の周囲にはいなかったと思う。

 その行動力もさることながら、エッセイの書き方も丁寧だ。自分の見たものや聞いたものを素直に書いている。1万文字を超える作品の後の2300文字は短くも感じるが、その中で変に技巧に走ることもなく、これまでのファンタジー作品で見たような過度な装飾なども見られない。ただ純粋に、良い意味で自分の欲望に忠実に自転車を漕いで小さな冒険に出発する姿が目に浮かぶ。

 ふと中学時代の自分を思い出す。中学時代の私は、磯の香りも、刈ったばかりの芝生の匂いも、自転車を漕いで歩くよりも深く感じるそうした感覚を知らない。近所を流れる川を見て「この川の始まりはどこなんだろう?」と疑問を持ったこともない。そこにあるものを「そういうものだ」とあるがままに受け入れることが、大人になることだと思っていた。厨二病とはまた違うけれど、思い返せば少しもったいなかったかもしれない。

 まだ住み慣れた小さな空間から出る勇気が持てない私は、全国津々浦々へ赴くずんば氏の見た風景をもう少し拝借させてもらおうと思う。なんとも怠惰なことと自覚して。

 

 

 

ママチャリのエッセイ / 2020.03.20 読了

 

著者・今田ずんばあらず氏:Twitternote

イラスト・秋月アキラ(大城慎也)氏:Twitter 

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