きっと私の風が吹く

好きなことを、好きなように

【読書感想文】短篇集:過去からの脱却

累計72日目。

日々のお勤めお疲れ様です。アカツッキーです。

昨日ワイナリーで買ったブドウ飴を口の中で転がしながらお送りします。あ、どうでもいいですねすいません。

 

昨日も書きましたが、国家予算を投じて作られた世界初!合成音声を使用したミュージカルアニメ【ずんだホライズン】が悲願の東北上映にこぎつけました!

 

場所:宮城県仙台市

日時:2018年9月27日(木)18:00 ~ 20:00

価格:2000円(+手数料)

 

しかし!!

こちらのイベント、前売りチケットが規定枚数に達しないと放映出来ません

新規映像もあるらしいですし5.1chの高音質立体音響での放映になりますので、何度も見たという方でももう一回ご覧になってみてはいかがでしょうか?

 

仙台付近の皆様、東北ずん子を知らない方を沼に沈めるチャンスです。どうぞ1人でも2人でも10人でもお誘い合わせの上、連行してみてはいかがでしょうか?

 

遠方にお住まいの方で東北旅行をお考えの方、これを機に東北にお越しになってみてはいかがでしょうか?時間も夕方です。日中は遊びまくり、視聴が終わったらそのまま夜の仙台で美味しいものをいただくというのはいかがでしょうか?

 

どうぞ皆様のお力をお貸しください。よろしくお願いします。

www.dreampass.jp

 

 

というわけで、表題。

 

昨日、甲府に行くにあたって久々に本を読みました。というのも8月の秋田県由利本荘市からの帰りに秋田空港でmp3プレーヤーが謎の失踪を遂げてしまった上にまだ新しいのを購入していないため、いつものように音楽を聞きながら寝るという行為が出来なかったためです。

まぁ、なければないでいいかなぁと思ったりもするので、次に購入されるのがいつなのかはまったくの未定です。無くても寝れるからね。

あ、秋田空港で無くなった件については過去記事を御覧ください(ダイマ

shiihaduki.hateblo.jp

 

閑話休題

 

で、そんなわけで片道約2時間の電車の中で読んでいたのがこちら。

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「過去からの脱却」著・今田ずんばあらず

 

こちら、今田ずんばあらずさん(以降、今田さん)が書いた短編小説3作を収録した短篇集。第1刷が2017年11月23日なので、初出はおそらく昨秋のコミティア。私はその1ヶ月後の冬コミでお迎えしました。

 

今田さんは全国のイベントに参加しているため、一部では(というか本人も言っているが)、(同人)行商人と呼ばれ一目置かれている。名物は自身の著作である「イリエの情景シリーズ」を積み上げたりPOPを付けたりして作られたイリエタワー。私も日本鬼子(ひのもと・おにこ)というジャンルからその存在を知り、別の作品を通して今田さんとお話させていただくようになり今日に至ります。

 

話を本に戻します。

 

この短篇集に収録されている3話は過去に今田さんご本人が書いた小説に加筆修正を行なった、いわゆるセルフリメイク作品です。学生時代などに書いたものを、社会人となったいまの自分で書き直すという行為は、なかなか勇気のいる行動だったかと思います。

 

すべて読み終えた率直な感想は「これって脱却できているのか?」でした。

 

物語の展開や言葉選びによる会話の描写は私の好むものであり、特に引っかかりもなく読み進めることが出来ました。表現を誇張したり説明や環境描写を細かくすると、どうしても間延びしたりテンポが悪くなってしまいますが、物語を読み進めていくために必要な情報は必要最低限に集約され「もし自分だったらこうする」という「ifストーリー」を考えながら読むことの多い私ですが、そうした物語の広がりを意識すること無く読めたのは、個人的にかなり大きなポイントでした。

 

収録された作品は

 

1,囲い鍋

宮沢賢治が大好きな「ワタシ(私)」と奔放な同級生の話

 

2,的の前に立つ少年は雲に恋をしている。

物事を斜に見る弓道部員と仲間たちの話

 

3,あすか、初夏の日

幼馴染の男女と一羽のカラスの話

 

個人的には2の「雲に恋」が好きです。伏線というほど伏線ではありませんが、前半であった描写を後半に持ってきて、すんなりと着地出来たように見えました。

 

で、私がなんで「脱却できているのか?」と思ったのかは至極簡単で、その終わりがいずれも「転換期の最初の一歩を踏み出したところで終わっている」からです。もう少し砕いて言います。

 

どんな物語にも、始まりと終わりがあります。そして多くの物語は、様々な出来事を経て終わりを迎えます。冒険漫画などに「新しい冒険に出発だ!」みたいな終わり方はよくある表現の一つですが、あれは一つの冒険がきちんと終わった後に始まるもの。いわばゴールした後に、次のスタートラインから「よーいスタート!」とスターターピストルを鳴らされて、改めて走り出した状態です。伏線も何もなく、読者は真っ白な状態ですので特に「どうなるの!?」みたいなことなくスッキリ終われるわけです(もちろん作品によります)。

 

じゃあこの本の物語はどうかと言うと、色々な人間関係や思想などについて「あ、変化したな」と思うところで終わります。あとがきにて今田さんご自身が「ふんわりしたラストシーン」という要素があることを記載されていますが、まさにその通り。

 

この後どうなるんだろうな、という想像はもちろん出来ますが、個人的にはもうちょっと書いて欲しかった。もうちょっと彼らの物語を見ていたかった。

 

冒険の途中で幾度の困難を経て伝説の剣を手に入れた。これで魔王と戦える!ってなったのにそれを抜く前に物語が終わってしまったような。

あなたが好きです!付き合って下さい!という告白シーンで「続きは次回!」って切られたまま次回が永遠に来ないような。

 

そんな「その後どうなったの!?」という好奇心が行き場をなくしてちょっともやっとしているような感じ。

 

物語は楽しかったです。これは本当にそう思います。この終わり方に対する感覚は完全に好みの問題ですね。

作品が気になった方は、今田さんのTwitterから同人イベント参加情報をご確認することをオススメします。意外とあなたの町にも来るかもしれません。

 

 

今田さんの作品は、いちいち私のどっかに刺さってきます(褒め言葉)。似たような界隈にいると忘れがちですが、世間的に見れば今はまだ知らない方も多い作家であると思います。

 

彼の描く物語が万人受けするかどうかは私には分かりかねますが、彼の飛躍を、一人のファンとしてこれからも草葉の陰から応援しようと思います。

次の確定イベントは11月4日の九州コミティア とのこと。もしかしたらそれまでにもどこか急遽参加するかも?

 

そんな、感想のようなよく分からないものでした。

ではまた。

 

今田ずんばあらず氏

Twitterhttps://twitter.com/johgasaki

Amazonhttps://www.amazon.co.jp/dp/B07B63ZH7X/